ヴェッターハーン魔導帝国ソルダストア属州カンベ村生まれの少女ルディアは、類まれなる魔導理論の天才である。
弱冠12 歳で帝都ヴェインの最高学府ヴェイン・アカデメイアに入学後、魔導理論・物理学・考古学をはじめとする分野で多岐に渡って活躍するが、大学院在学中の19 歳のとき、突然消息を
絶つ。
消えるようにして故郷に帰り、平穏な日々を送っていたルディアだったが、ある日、カンベ村の畑
で帝国軍に追われる謎の少女と出会う。
帝国軍は魔導兵器S-018を以て彼女を攻撃するも、ルディアの機転もありS-018 を討伐する。
ACTΩ と名乗った謎の少女の正体は、ルディアが大学院で研究していた古代魔導兵器「ACT Ω」のコアユニットである。
ルディアによって「フィーネ」と名づけられたその快活な少女は、静穏なルディアと意気投合するが、古代魔導兵器コアユニットであるがゆえ、魔導帝国とその元帥、テグラに追われる身となる。
ソルダストア属州は、元ソルダストア小王国であったが、王都ソルダストアとその城は属州総督府として、魔導帝国四天王・ヴィルの居城となっていた。
総督府でヴィルを倒した二人は、小王国の生き残りからの言伝を得る。「彼の者を、絶対に、力の墓所に、近づけてはならぬ。」
世界には、魔導大戦以前の遺跡が多数存在する。
大戦前の魔導技術の古文書が残され、代々帝国の賢帝によって封印されてきた知恵の墓所、カンベ村近郊の山にあり、かつてコアユニット・フィーネが封印されてきた意思の墓所、そして、魔導大戦での最終兵器にして文明を崩壊させた古代魔導兵器「ACT Ω」の本体の眠る力の墓所。
10 年ほど前にヴェッターハーン帝国皇帝シグマが病に倒れ、帝国の実権を帝国魔導師テグラが握って後、知恵の墓所の封印は解かれ、その功績でテグラは元帥に就任した。
そして帝国は魔導帝国と名を改め、ルディアも携わった知恵の墓所の古文書の解読により、意思の墓所も暴かれた。
フィーネが墓所を離れたのも、帝国軍に捕らえられる寸前であったからである。
フィーネ自身は、古代魔導兵器をまとった状態か、あるいは心を許した人間とともに戦うと、その華奢な体つきからは想像もできない戦闘力を誇るが、一人では回復や補助の魔導しかつかうことができず力も発揮できないため、帝国軍からは逃げの一手であった。
現在の世界には、2 つの大陸に大国がそれぞれ存在する。
北大陸には、魔導技術を推し進め国民を幸せにすると主張する「ヴェッターハーン魔導帝国」が存在する。
帝国は魔導王国の末裔による国家で、他国家の国民より魔導適性があるとされているが、これは血脈などではなく、帝国での方言や伝承が魔導技術の一端であるからに過ぎない。
こうしたことがわかったのはここ最近で、ルディア率いる研究チームによって明かされたが、帝国に不都合であるとして研究チームは解散、メンバーは各地に左遷された。
現在でも帝国民は、「自国民は魔導に選ばれた民族である」と信じて疑わず、他国民を見下す傾向にあることが多い。
ルディアらはスフェルナ山脈を越え、帝国の本土に入る。
力の墓所の捜索には、すでに見つかっている知恵の墓所から手がかりを得るのが先決である、というルディアの意見である。
山脈を越えた先には、属州総督府の救援に向かう魔導帝国四天王・リタと鉢合わせする。
難なく撃破し、知恵の墓所を目指し帝都に乗り込む。
しかし、帝都には魔導帝国四天王最強とも言われるルーダが帝国軍を率いて待ち構えていた。
善戦するものの後一歩及ばず、敗北を悟ったルディアらは帝国海軍の小型船W-013を強奪し海に逃亡する。
帝国領海では平穏だった海だが、次第に波は勢いを増し、揺れた船によってバランスを崩しぶつかったルディアとフィーネはともに意識を失い、帝国本土とは対岸の大陸、カトメンカーゼ諸侯国連邦領の海辺にある小さな村に流れ着く。
諸侯国連邦は、魔導帝国と対して科学技術の復興に精力を注ぐ国で、帝国の台頭以前は世界の覇権を握っていた。
しかし、帝国の台頭後は、魔導技術の差により緒戦で敗北している。
海辺の村に漂着した軍船を見つけた村人は、帝国の刺客を恐れ、武装して軍船に乗り込むも、中で気を失ったルディアとフィーネを見つけ、彼女らを保護する。
彼女らが帝国から亡命してきた者だと判断した領主は、彼女らに連邦首都へ行くことを勧める。
連邦首都にたどり着いたルディアたち。
海辺地方の領主の保証もあり、彼女らは大公と謁見する。
大公は彼女らの冷静さと勇敢さを認め、諸侯国連邦を挙げての客人として迎え入れる。
大公から情報を得た彼女らは、隠された第四の墓所に赴く。
魔導大戦のさなか、魔導敵対国の国民が集合精神となって海底のコンピュータに移住したという国で、外部デバイスを持ち情報収集をする一方、過去の過ちを人間が犯すことのないよう祈りつつも世界に手を加えることをしないという国家である。
近年の蛮行が目立つ帝国を重く視た彼らは、公開される形ではないながらも諸侯国連邦と国交を結び、帝国と戦える程度の技術供与を行ってきた。
諸侯国連邦からやってきたルディアらは、三つの墓所の意味とACT Ω本体の危険性、そして世界の真実を知る。
改めて力の墓所を目指し、ACT Ω 本体の破壊を目指すこととなった彼女らだが、この頃からルディアの表情にはかげりが見えるようになった。
それは、ACT Ω 本体の破壊は、同時にコアユニットであるフィーネの消滅を意味していたからである…
力の墓所は南大陸の最北端。しかし、大陸中央部の抗争地帯イリスを境に、北は魔導帝国の占領地であるため、現在諸侯国連邦にいるルディアたちにとっては、戦線となったイリスを抜けなければならない。
泥沼化する諸侯国連邦と帝国の戦闘に決着をつけるべく、帝国はついに切り札の魔導帝国四天王・シュラをイリスに派遣した。
あわよくば連邦ごとルディアを倒しフィーネを捕らえることも企んでいたが、逆にルディアらが加勢した連邦軍になすすべもなく敗走、北方へと逃げることとなった。
そのさなか、帝国の研究により、帝国軍にも力の墓所の場所が知れ渡る。
ルディアらと帝国軍は力の墓所の前で鉢合わせし、因縁の四天王ルーダと対決する。
ルディアらは無事ルーダに勝利するも、元帥シグマには一足先に力の墓所へ行かれてしまう。
力の墓所では至るところに破壊された最終兵器ACT Ω が存在する。
ACT Ω はコアユニットなしでも魔力を常に異空間から汲み続け、コアユニットが入った状態なら最強ともいえる戦闘力を誇るが、コアユニットに含まれた魔力も含め過大すぎる魔力が溜まると自壊する。
そうしてコアユニットが入ったACT Ω は魔導大戦後に使われなくなり世界中で自壊し、あちこちに乱雑な魔力場を発生させた。
このため、魔導大戦後、急激に文明が崩壊したという歴史がある。
現在も使用可能なACT Ω は力の墓所の最奥部にあり、コアユニットがはずされていたため魔力が溜まりすぎず、満充填された状態で待機していた。
ルディアたちより一足先にACT Ω にたどり着いた元帥シグマは、世界中に散らばったコアユニットの残骸からレプリカをつくり、自ら融合しACT Ω の完全体としてルディアたちに立ちふさがる。
死力を尽くして元帥シグマを倒したルディアとフィーネ。
しかし、それは二人のお別れを意味する。